「犬顔家の一族の陰謀」を見た。

　2007夏休みチャンピオン祭り「犬顔家の一族の陰謀」～金田真一耕助之介の事件です。ノート～ を見た（相変わらず、タイトルが長い）。久しぶりの新感線のネタもので、クドカンの初新感線って事で、結構気合入れて前日から、何時に出発してーっと計画を立ててた。到着すると、いつもごった返してるハズの場所はガラーンと。

会場、間違えました。

　チケットを出して見てみると、厚生年金会館ではなくシアターBRAVA？！！開演１５分前だよっ！私は常々、芝居に遅れて入ってくる人を不快に思っていて（途中から入ってくる人、とても多いのです）、先にちゃんと来てる人の邪魔になるって事を分かってんの！といつも腹立たしく思っているので、絶対に絶対に遅れたくない。滅多に乗らないタクシー、考えてる暇は無い、乗ってしまえ！
「京橋の、大阪城の、シアターBRAVAまで！！」と超、急いでる風に（実際急いでるんだけど）、お願いする。運転手さんは、非常にノンキに「松任谷由美ですかー、シャンデリアですなー、いいですなー」と。何だよ、シャンデリアって。さっぱり意味が分からず、「いえ、別件なんです。とにかく１２時半までに、どうにか着きたいんです。」と、切に訴え、２分前に到着。心斎橋でアイス食べなきゃ地下鉄でも間に合ったのに、と後悔しつつ、会場の階段を駆け上がる。客電が消える前に、席に着けてほっとする。タクシー代は２千円。２千円あったら、ケーキ５個くらい食べれるなぁ（悔）。

　そんな無駄遣いと無意味な汗をかいた後だったので、舞台上で無意味に汗をかく人達を見るのは事の他、楽しかった（笑）。いつもと比べて、お金のかかってないセット、笑わないように必死の役者たち（古田新太、橋本じゅん中心とする笑かし合い、たまらんですよ）。クドカン脚本のお芝居は、どれもとても好きなのだけど、やっぱり好きだなぁ。役者としても、かなり頑張ってた。あんなに声張り上げて長台詞は、大人計画ではやらないもの。細い体で大丈夫か？と心配してしまう。
　内容はあの映画のパロディーなのだけど、ブロードウェイミュージカルやデスノートなんかからもネタをひっぱってきて、なかなか幅広い感じ。客演の皆さんも割りとしっくり馴染んでて、いのうえ歌舞伎なんかの「主役の客演俳優を新感線の役者達がサポート」的な感じではなく、「新感線の大きな流れに客演が入る」という、感じ。私がずっと見たかったのも、新感線中心のお芝居だったので、非常に嬉しい。こういう雰囲気は本当に久々のような気がする。
　客演の中では勝地涼君がはじけてて、今後の役者生活に支障をきたさないか、若干心配になるほど（笑）。あんまり好きなタイプの俳優さんでは無いと思ってたけど、結構ポイント上がった。単なるさわやか君ではありませんね。今後はクセのある役をやってくのかもしれないなぁ、と予感したり。
　スクリーンの映像を多用する演出は、最近の新感線の主流なのだけど、今回もなり効果的に使われていた。他のお芝居でも使われるけど、新感線ほど上手に使うお芝居は無いと思う。オープニングクレジットの映画風の演出も、途中、勝地涼君を追いかけて木野花さんが会場を出て行った後の演出も、スクリーンがあってこその演出。しかも、それに頼りすぎてない。
　２，３役かねている役者が多かったのだけど、その中でも橋本じゅん、古田新太の二人が出てくると、ワクワクする。橋じゅんさんは、今回、ホントに素晴らしかった。クドカンが肩を震わせ、下を向いている場面が何度も（笑）。似てない物まねもそうだけど、今回はボケ倒す側に専念できて、生き生きとしてた感じ。
　いのうえ歌舞伎では終わった後、グッタリと疲れてしまう事が多いのだけど（良い疲労感です）、今回は非常に心軽い感じ。大掛かりな長いコントを見た、という印象。会場で貰ったお芝居のチラシたち、見たいものだらけだったのだけど、この先の仕事もどうなるかわかんないし、しばらくはチケット購入は出来なさそう。来週の蜷川シェイクスピアでしばらく打ち止め。寂しいけど、ここ２年半かなりのペースで見てこれたので、よしとしよう。
　大満足で駅へ向かう途中「シャンデリア」ではなく「シャングリラ」の事だったのね運転手さん、と大阪城ホールの看板を見て気づく。気づいて突っ込んであげたかった。