思いもかけぬ、プレゼント。

　毎日、当たり前のように顔を合わせて、当たり前のように一緒にお昼ご飯を食べている。あと少しで、その当たり前が終わる。とても恵まれた職場だったと思う。穏やかな２年半。健康を取り戻し、一日一日を積み重ねられたのは、今の職場で働けたからだと思う。

　仕事を辞める事は、私にとっては大きな事じゃない。ただ、好きな人達に日常的に会えなくなるのは、やっぱり寂しい。仕事を辞める時はいつも思う。仕事そのものに未練はいつも無い。ただ、そこに居る人に会えなくなるのが寂しい。

　いつもお世話になりっぱなしのお二人に、帰り際に大きな紙袋を渡される。中味は、とても素敵な和柄のサンダルと、緑の可愛いTシャツだった。「今までお世話になったから」と、私が言わなければいけない言葉をかけられる。お昼ご飯を食べながら、旅の計画を話し「ビーチサンダル、あると便利なんですけど荷物になるし、わざわざ買うのもねぇ」と言ってたのを、覚えててくれたのだと感激する。私は、こういう思いもかけないプレゼントを貰い慣れていないので、何とお礼を言っていいのか分からない。「こんなの貰っていいんでしょうか・・・」と申し訳なさばかりが前に出て、ちゃんとお礼が言えない自分に落ち込みながら家路に着く。中味を見ると嬉しくて、部屋で何度も履いては脱ぎ、履いては脱ぎ。ちょっと歩いてみたり、小走りしてみたり。

　仕事終わりに居酒屋で焼き鳥食べて、朝までコーヒーショップでダベった事は、とてもとても楽しかった思い出。仲間に入れて貰えて嬉しかった。一人旅で寂しくなったら、貰ったサンダル履いて、Tシャツ着て出かけよう。